ロッカールームのお姫様

　

　寒い寒い東京の夜。　もしかしたら、風邪を引いてしまったかもしれません。

　たぶん、けっこう頻繁にジムに通ってると思うんだけど、まったくその効果が身体に表れない人、っているね。　ある程度効果が出ていてそこから変わらない、ってんじゃなく、暇つぶしで来てんのか何か他の目的があってなのか。

　彼もそんな人種のひとりかな。　仕事を終えて、それから行く日には必ずと言っていいくらいに見かけるんだよ。　トレーニングルームやプールでじゃなく、ロッカールームでね。　必ずロッカールーム。　俺がジムに行く時間は毎回おおよそ同じ時間になるけど、きちっと同じ時刻になる、ってことはない。　でも彼は、必ずロッカールームにいる。　ロッカールームでしか見かけない。

　風呂があって、ある程度の広さの規模のトレーニングジムだと、そんなロッカールームのお姫様は必ずいるね。　東京体育館のジムにはサウナの設備はないけど、民間の大きなジムだとスパとしての設備が整ったところがあるから、スーパー銭湯代わりに使う人もいるんだろうな。

　デパートやスーパーで、値引きの表示があるものは買わずにはいられない、ってまあ一種の病気、とは言わないまでも癖（へき）のある人がいるように、ロッカールームで気になる人を見かけたら、その人の裸を見ずには立ち去れない、って人もいるんだろう。

　

　もちろん、ゆっくりとした動作で六尺を締めるよ。