六尺褌２０年の記憶 １１年目 ’０５年

　

　まだ５月だというのに台風が来て、夜になって東京は暴風雨。　年々夏が早く来て、夏が長くなってる気がするよ。

　’０５年１０月、一週間ほど仕事を休んで鹿児島県の最南端、与論島へひとり旅。　リゾートホテルでのんびり読書とスキューバダイビングに、誰とも話をしない時間を楽しんだんだ。　そしてこの時初めて、六尺褌を締めて普通の海水浴場で過ごしている。　ホテルのプライベートビーチでね。　前年に親父が逝ってしまって、俺の醜聞で両親に迷惑がかかるかもしれない、という心配をしなくてもよくなって一歩踏み出したんだな。

　それまでの六尺を締めての日焼けは、ゲイが集まる海岸や運河沿いや河原といった一般の人の目が届かないところ。　それがこの与論島への旅行を境に、普通の海水浴場や六尺褌での入場が許されているプールでも六尺で過ごすようになっていく。　俺の六尺生活にとってこの年もまた大きな転換の年だったね。

　夏に思い切り日焼けをしても、冬から翌年に日焼けを始めるまでは六尺の日焼け跡がほとんど消えた状態だったのが、この与論島への旅行を境に年中、薄くなっても明らかに、普通の日焼けとは違う　”跡”　が残るようになっていくんだな。　

　翌’０６年の秋に沖縄、’０７年は２月にバリ島で日焼け。　’０８年１月と’０９年の春先にグアム、というふうに、シーズンオフに太陽を求めて南の島へ行って六尺の日焼け跡を付けている。　六尺褌での日焼け跡が年中消えなくなったのはこの年からだ。

画像。　与論島にて。

　

　六尺で海に行くから日に焼ける、のか、日焼けをするために海に行くのか。　俺の場合は、日焼けのために海に行く。　六尺褌での日焼けの跡を付けるために日焼けをする。　ひょっとしたら、それが目的で六尺を締めるようになったのか。